2017/07/20
3DSカルドセプトのカードのラインナップには、旧セカンドに存在したカードを中心に、DS版からの再録カード、3DSでの新作カード、そしてさらにカルドセプトサーガからのカードが含まれています。
サーガからのカードを選ぶにあたっては、事前に方針が決められました。
「サーガオリジナルのキーワード能力[*1]は、導入しない」
サーガでは、「即時[*2]」「復唱[*3]」「呪身[*4]」など、多くの新キーワード能力が登場しています。
一方で、3DSカルドセプトは、セカンドをベースとしています。
DS版(1st)の流れからと考えると、セカンドでの新能力だけでも「領地能力[*5]」「全体能力[*6]」「復帰[*7]」、さらに今作での新キーワード能力「雪辱[*8]」が加わりました。
これらの新能力を野放図に加えていくと、新能力の数は膨大になり、DS版からのセプターの方や、さらには今回新規参入された方々には、把握しきれなくなるだろうと考え、今回は、サーガの新能力は採用しない方向になったのです。
サーガ由来のカードは、このような方針のもと、今作の環境にも有効そうなもの、ある程度インパクトや話題性を提供できそうなものというような視点も含めて選択されました。
そんなサーガ由来カードのうち、今回はクリーチャーカードをいくつかピックアップして、それにまつわる話を書いてみたいと思います。
[ サクヤ ]
サーガの頃にも人気があり、そして今でも人気のあるカードですね。
このサクヤに関しては、地形変化の能力がレベル3以下と制限されたものの、以前無かった援護能力も付き、一見強化されているとすら感じられるかもしれません。
もともと、サーガのサクヤは「即時」能力も持っていましたが、サーガ由来能力ということで削除されました。
しかし、このままでは、サクヤは能力を一度も使うことなく、早々に戦闘かスペルで排除されてしまうでしょう。
そこで、せめて戦闘面では多少耐えられるようにと、「援護」が加えられました。
能力の組み合わせとしては「即時」+「地形変化」の方が強力だと思うので、これでも弱体化にはなっている、と考えています。
サーガでは水属性にも同様の地形変化能力を持つものがいましたが、今回はこの地属性のみです。
属性間のバランス面では、やや不均衡とも言えるのですが…
地属性は、他の新カードにそれほどのインパクトが無い(と当時考えていた)ので、これで埋め合わせ…というイメージでした。
実際、人気が高いとはいえ、地属性1位の座は他のカードに譲る状況です。「地属性なら必ず使う」というほどには至っていません。(その意味でも、ジャッカロープの人気は予想外…)
それでも、もう少し弱くても良かったかも、と思わなくもないですが…。逆に、まったく使われなくなるのも寂しいので、微妙なバランスは難しいところです。
ちなみに、サクヤのイラストは故・斎藤智晴さんによるものです(他は、火のアベンジャー)。これらのスタイリッシュで美しいイラストの新作がもう見られないと思うと残念です。(斎藤さんとは、カルドセプト以前からのお付き合いでした)
[ バーンタイタン ]
カルドセプトのタイタン族は、高い基本能力の割にはコストが安いが、何らかの致命的なマイナス能力を持つ…というような共通設定があります。
バーンタイタンのマイナス能力は「使用者の持つ領地数が5以上の場合、戦闘中、ST&HP-30」。
領地が多いと、弱くなってしまいます。領地ボーナスの重要な今作では、ややきついペナルティだと考えたのですが…
実際には、火属性としては人気のカードとなっています。
ひとつの理由として、4人対戦でのマップでは、領地数4というのはそれほど少なくはないということなんですね。4つをキープできれば充分勝利できます。
また、それ以上に、バーンタイタンなど、基本能力が高いがマイナス能力を持つクリーチャーは、援護要因として使える、という部分があります。
援護ではマイナス能力は無視されるので、問題なく強力なアイテムカードとして使えてしまいます。
火属性で言えば、シャラザードやバルキリーの援護要員として使う、というところでしょう。
このような、「ペナルティがあるがコストの安いカード」という思想は好きなのですが、援護のことを考えると、そう安易には採用しにくいですね。
これはむしろ、援護という能力の仕様を再考すべきなのかもしれませんが…。
[ テング ]
採用に当たって、かなり紆余曲折のあったカードです。
サーガの頃に強力すぎたという「実績」があるため、慎重にならざるを得ませんでした。
しかし、その話題性と、風属性を少し鼓舞したいという面から、ぜひ採用したいカードでもありました。
このカードの難しいところは、強力な風属性クリーチャーでありながら、風属性に対する強力なアンチカードになってしまう部分。
強ければ強いほど、風属性を使うことがためらわれてしまうわけです。
で、適度な弱体化が検討されたのですが…その方向性は二通りに割れました。
ひとつは、「フュージョンなどの巻物で高レベル領地を奪われることが問題。なので、巻物強打をなくすべきだ」
もうひとつは、「レベルの低い領地が次々に蹂躙されてしまうことこそが問題。なので、STを下げるべきだ」
度重なる議論とテストの結果、後者が採用されました。
その結果か、今作では使用率はそこそこ程度にとどまっています。
風属性TOP10にさえ顔を出さないのはちょっとさびしくもありますが、昨今、風属性ブックの人気も低くはないので、結果オーライかと。
テング+フュージョンのコンボは今でも強力だと思います。
実際、最近もテングにしてやられました。なぜ、珍しく風属性ブックを使った時に限って、テング使いと遭遇するかなあ。
[ アスピドケロン ]
これも、サーガ当時には、人気のあったカードでした。
ということもあり、テング同様、今回は弱体化が図られました。
MHPが40→30に減少し、召喚条件も付けられました。
その結果…現在ではほとんど使われないカードになってしまいました。マップによってはワーストから数えた方が早いほど。
今となっては、ちょっとやりすぎたかな、と思います。
どんなに戦闘中HPが増えようとも、MHP30ではイビルブラスト1発で破壊されてしまいます。
さらに、召喚条件があることで、気軽に置けなくなってしまいました。
弱体化は、せめてどちらか一方にすべきでした。
チューニング当初、水属性カードにはアプサラスをはじめ、強力(と思われていた)ものが多かったため、他のカードを弱く設定することにあまり抵抗がなかったのです。
水属性全体のポテンシャルがさほど高くないと判明した現在では、アスピドケロンにとって、弱体化は単なる「とばっちり」でしかなかったですね…。
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今回、キーワード能力がたくさん出てきましたので、これらについてのみ注釈を入れました。
- キーワード能力:カードが持つ能力のうち、良く使われるものを短いキーワードでまとめたもの。「先制」「雪辱」「即時」など。
- 即時:クリーチャー能力。クリーチャーを配置した時点で、領地コマンドが使用できる能力。
- 復唱:スペル効果。このスペルを使用後に再度別のスペルを使用できる。
- 呪身:クリーチャー能力。特定の呪いがかかった状態で召喚される。
- 領地能力:領地コマンドで使用でき、スペル効果を発動する。
- 全体能力:配置するとゲーム全体に効果を及ぼす。
- 復帰:使用後、手札やブックなど指定された場所にカードが戻る。
- 雪辱:通常攻撃で相手にダメージを与えられなかった場合、効果が発動する。