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大宮にあるから大宮ソフト

これまで、新カードのうち、主にクリーチャーについて、予想と実際を比べてきました。

開発中の予想がかなり外れていたことが露わになりましたが(苦笑)、致命的というほどのバランスブレイカーは存在せず、それぞれの属性が程よく使われていることも分かり、この部分ではホッとしています(これが一番避けたかった部分なので)。

しかし、使用頻度で言うと、クリーチャーカードよりも、属性に左右されずどのブックにも入れやすいスペルやアイテムカードの方が、偏りやすいのは当然。

事実、総合使用頻度が最も高いカードタイプは、常にスペルカードです。(スペル内では順位の入れ替わりがあります。ホーリーワード8[*1]、パーミッション[*2]、リコール[*3]あたりが、マップによって1位を奪い合っています。)

今回は、やはり使用頻度上位にいる、この新スペルカードについて。

[ マジックブースト ]

スクリーンショット

スクリーンショット

「雪辱」に代表されるように、新カードには調整的要素を持つものが多いです。
過去に強すぎた戦法やカードに対抗するものを取り入れ、より色々な戦法が活躍できるようにしたい…という意図です。

しかし、調整的要素ばかりというのも、地味にまとまりすぎて面白みに欠けてしまう。

ということで、今回、スペルにちょっと派手なのを入れてみようと考えました。
それがこのマジックブーストです。

ゲーム中、魔力を一気に使う場所と言えば、土地レベルアップ。
その額を1/2にしてしまうのですから、それはもう、強力なはずです。

ただ、そのまま強力なだけではマズいので、当然オチもあります。
効果期間1ターンと言う部分です。効果は高いが、チャンスは1回だけ、という仕様。

土地レベルアップするには、レベルを上げたい領地を通過する必要があります。
普通にマジックブーストを使う場合、目前に領地がある時にダイスを振り、その領地を通過する目が出るのを期待するわけですが…
その成功/失敗は、ほとんどの場合賭けになります。
2歩目前に領地がある場合に、1のダイス目が出たら失敗。使用したマジックブーストは無駄になります。

他のカードとの組み合わせで、成功率を高める方法はありますが、それでも常に有効な状況を作ることは不可能だと考えました。
良い状況を待って手札に温存すれば、その間、手札が圧迫された状態でゲームを行うことになりますし、敵セプターに破壊されたり奪われたりする可能性が高くなります。

ということで、マジックブーストは開発中から「爆弾」となる可能性は予想されていたものの「一見強そうだが、実際には使いにくい」という部分で、適度な使用率に落ち着くだろうと考えられていました。

(方向性としては、確率成功の即死能力や、クイックサンド[*4]などに近い感触を想定していました。決まれば強いが、不確実という面で)

で、実際は…

使用頻度は高いです!
昨今では、スペルで5位以内にランキングする状況です。(決して1位にはなりませんが)

予測以上に使えてしまった…という事ですね。

なぜこんなに使われる?

この使用頻度の高さの理由を、今さらながら解釈してみると…。

まずは、世のセプターさん達のテクニックが想像以上に巧みだったということでしょうね。
我々の想像しなかった方法で、成功率を高めているのだと思います。
(確かに、特に同盟戦では成功率を上げる方法が増えますね。そこは考えが浅かった…。)

また、「使用頻度が高い」こと自体が、壊される危険性を下げ、使いやすくしていると言えます。
使用頻度の高いスペルは、リフォーム[*5]で一気に消す(マナに変える)という手段もあるのですが…
自分もマジックブーストをブックに入れている場合は、その手は使いたくないですね。結果、リフォームは使われないということになります。

シャッター[*6]などで1つずつ破壊していく方法もありますが、なかなか骨が折れます。それに、マジックブーストの場合、破壊されたとしてもそれ自体が致命的とはなりにくく、破壊する方もあまり得を感じません。
それ故、マジックブーストは、現在のような使用頻度の高さを保っているのではないかと思います。

まあ、ホーリーワード8などのように、これより高い使用頻度を誇るカードもありますし、そもそもスペルカードはどんなブックにも入れやすくできているものなので、特定のクリーチャーが流行ることに比べれば問題を感じないのですが…

使用頻度より問題なのは…

タチが悪いのは、ダイス絡みの「運カード」だったということ。

当然、みんな成功を期待してマジックブーストを使うわけですが、必ずしも確実に成功させられる状況ばかりではない。
その成否を決めるのはダイスです。

普通にダイスを振る場合、それが2歩目前の領地であっても、届かず失敗する可能性がかなりの確率であるのです。
この失敗したときのガッカリ感は想像に難くありません。(「ここで1が出るかぁ!?」

逆に、敵が使った場合に、成功して高レベルアップされた時の憤りも想像できます。(「奴ばっかり運がよくてズルい!」

賭けなので、もちろん成功したときの興奮もまた大きいわけです(「3以上来い…来い…来たァ~!!(ドーパミン大放出)」

このように、実際の効果以上にインパクトが強い。
使いたくなるカードなのに、失敗のガッカリ感も伴い、「愛しさ余って憎さ百倍」のカードになっているのではないでしょうか。

この効果以上の「心の機微」を想像できていなかったのが、最大の問題だったかなと、今思います。

「運頼みで強力な効果を発動させるカードは危険」

これは、かつてジャッジメント[*7]というスペルでも経験していたはずなのに。
しかし、ジャッジメントのような、マイナスの効果では無いカードについてはついついタガが緩んでしまうんですよね。
ミスルト[*8]というスペルに近いのかも。あれも異常な使用頻度でした。

一か八かは、カルドセプトの華!

もっとも、このダイスによる興奮と落胆は、カルドセプトの最も面白い瞬間でもあるんですけどね。

敵セプターが、自分の盤石なレベル5領地の目前でダイスを振る時。(「止まれ、止まれ~!!」

自分が敵セプターの盤石なレベル5領地の目前でダイスを振る時。(「あの目だけは出るな、出るな~!」

まさに、「ガッポリ」直前の瞬間。そこでやりとりされる魔力の額はマジックブーストの比では無い。

一か八かの大勝負。
手に汗を握り、血液が頭に昇り、全身の毛が逆立つ。なかなかこういう興奮は、普段味わえません。
これこそが、カルドセプトの醍醐味です。

そんな一か八かの興奮が、またひとつ加わった。
そう考えることも、できるのではないでしょうか?

(きれいにまとめようとしているの、バレバレですか…? すみません、今後はもっと気を付けます…)

—–

今回、引用したカードが多かったので、逐一注釈を入れてみました。

  1. ホーリーワード8:対象セプターの次のダイスの目を8にするスペル
  2. パーミッション:全ての砦を通過したことになるスペル
  3. リコール:使用者は城に飛ぶスペル
  4. クイックサンド:通過セプターを対象の領地に止まらせるスペル
  5. リフォーム:全てのセプターの手札やブックにある対象のカードを”マナ”に変えてしまうスペル
  6. シャッター:敵の手札にあるクリーチャー以外のカードを1枚破壊するスペル
  7. ジャッジメント:ランダムで対象敵セプターか使用者は魔力を大幅に失うスペル。今作には存在しない
  8. ミスルト:全てのセプターがダイスで5~7を出す度に使用者が魔力を得るスペル。今作には存在しない
(2012.8.27  神宮)

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様々なパブリッシャーを渡り歩く、流浪のソフトハウス。

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