2017/07/20
プレイステーションユーザーのみなさん、はじめまして。
もっとも、サターンユーザーの多くはPSも持っているだろうと思われるので、本当に「はじめまして」の方は少ないのではないかと思うが。
ここでは、カルドセプトのゲームデザイナーとしてこだわった部分(かつ、以前のデザイナーズノートで書いていないこと)について書いてみたい。
カルドセプトは、1997年10月にセガサターン用ソフトとして初めて発売されたゲームだが、「トレーディングカードゲーム」の要素を取り入れたビデオゲームは業界初だったのではないかと自負している。
確かに、「トレーディング(交換)」の要素はすでにポケモンなどで具現化されていたし、「カードゲーム」のビデオゲーム化もあった。しかし、当時「トレーディングできるカードゲーム」の再現を試みたメーカーは無かった(と思う)。
トレーディングカードゲームを再現する際、我々が重要視したのは「カードは経験などによって成長しない」ことである。これは、単に実際のカードゲームがそうだからというだけでなく、ゲームバランス上重要な要素なのである。
成長できるゲームの場合、特定のカード(モンスター)が成長するほど、他のカードの価値は相対的に下がってくる。自然、勝つためのデッキ(=カードの組み合わせのこと)は徐々に1つに絞られてしまう。
ところが、リアルカードゲームでは、いくらプレイしようともカードそのものの価値は変わらない。
では、攻撃力の低いカードなどは永久に使えないのか?というと、そんなことはない。
攻撃力の低いカードは、コスト(=それを使うためのエネルギー)を低く設定してある。コストの高いカードはなかなか使用できないため、それだけでは結果としてゲームに負けてしまうのである。
上記の要素によりカルドセプトでは、ビギナープレイヤーがベテランを負かしたり、負け続きのプレイヤーが少しブック(=デッキ)の発想を転換するだけで勝てるようになる、などといったことが起こるのである。
カルドセプトは、リアルトレーディングカードゲームに比べるとルールを簡素化している。
また、ゲーム中にルール指導があったり、オンラインマニュアルをゲーム中でも見ることができるなど、ヘルプ機能が充実しているため、初心者でも簡単にゲーム世界に入り込むことができる。
リアルトレーディングカードゲームをやってみたいのだが、難しそうで踏み込めない人なども、カルドセプトを入門篇としてプレイしてみるとよい。
これができるようになれば、トレーディングカードゲームに共通する概念を知ることができ、他のゲームもずっと理解しやすくなるだろう。
もっともカルドセプトなら、プレイを重ねるだけでカードを増やせるわけで、金のかかるリアルカードゲームの深遠な世界にあえて踏み込む必要があるのか、と言う話もあるが。
デザイナーズノートにはサターン版発売のころから書かれた本編がある。
内容はサターン版に関する記述だが、ゲームデザインに関する内容は共通であるし、「その12 激動編」からはPS版を踏まえた内容となっている。
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